火を熾す

冷えきった暖炉に、小さな火をまた灯せるように。風を送って、また大きな火を熾せるように。

佐渡紀行。

カモメの羽ばたきと目の煌めき

 

鳴き声と哭き声に

 

魚の鱗や推進力

 

命を断つ。

 

海という生き物。

命を生き

 

命を奪い

 

奪われる

 

その輪廻が今日を作る。

生きている

 

鼓動が拍動を刻む温度がある

 

目が澄んでいる

 

ああ 生きている

 

今この今を生きている

 

強く強く生きている

 

還っていく

 

生まれていく

 

波のはざまでしぶきと共に命が活きる

 

生命力

 

奪う

 

食べる

 

絞める

 

絞められる

 

もがく

 

押さえ付ける

 

食べるため。生きるため。

 

還すため。還るため。

 

 

岩が橙に浮かぶ。 雲を照らす。

 

世界が映える。美の頂。息を呑む。

 

宇宙と地球が水平線で交わる。

 

海と空が出会う場所で、彼の光は身を沈めんと。

 

浮かび上がる灯台

 

蝋燭。光る木。船を導く明滅。

 

一瞬、ひび割れて。

 

世界がオレンジ色に染まるとき。

 

空照らす月。月明かり。星。満天の海。

 

青と黄色のコントラストで、杉の黒が夜空に佇む。

磯の香りを夜風が運ぶ。

 

照らされたたなびく雲が幻想を造る。

 

かぐや姫竹取物語の郷愁。妄想。浪漫。

 

ラジオ。昼下がり。日光。天気予報。

 

「今日も35℃と暑くなるでしょう。」

 


文化と人と海と命と伝統とせめぎあうなかで

きっとその景色は変わらないから。

 

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