火を熾す

冷えきった暖炉に、小さな火をまた灯せるように。風を送って、また大きな火を熾せるように。

野良猫って幸せなんだろうか。

 

すごい雪ですね。

しんしんと降り積もっていく雪、子供心をくすぐるような、指先までかじかむような、思わず触れたくなるような、あらゆる音をすいこむような、絶対的な白の世界、冬の圧倒的主張のような雪。

野良猫は好きですか?

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唐突ですか?でも聞いておきたい。

野良猫は好きですか。

 

陽光の下まどろむ。なついて擦り寄ってくる。

世界一幸せそうなカオして

“にゃお”

って鳴く。

 

かわいいよね。わかるよ。すっごくわかるよ。なんて無垢な生き物なんだって。

 

でも、彼らは常に死と隣り合わせだ。

 

忘れないでほしいんだ。

 

糞が、尿が匂う。

ゴミが荒らされた。

夜鳴きがうるさい。

こいつらは害獣だ。邪魔者だ。

いなくなってしまえばいいのに。

 

そう思う人もいるってことを。

 

車にはねられ、ぐっちゃぐちゃになって

還らぬ命となった子猫を

捜し歩く母猫がいるってことを。

 

生れ落ちただけで邪魔だと存在を拒否されて

保健所の冷たい床の上で 空気を奪われて

理不尽な暴力に

散っていく命があるってことを。

 

暑さが、寒さが、

凍てつく雪が

縮こまった体に灯るかすかな残り火を

吹き消してしまったことを。

 

報われない命に 己の無力さに

助けられなかった命に懺悔して

泣きながらその冷たくなった体を埋めて

悲壮と嗚咽と哀惜を胸にしまいこんで

よりよい未来を信じてまた立ち上がる人がいるってことも。

 

生まれてきただけなのにね。

なんでだろうね。

 

行政によって引き取られる猫72,624匹のうち61,563匹、すなわち84.8%近くが「所有者不明」(野良猫)という内訳になっています。さらにそのうちの74.4%(45,827匹)までもが、子猫で構成されています。つまり、不妊手術を受けていない野良猫が産み落とした子猫たちの多くが、「近所迷惑」という形で行政に持ち込まれているのが現状なのです。(2016年)

猫の殺処分について~原因と現状を知り、処分数削減のため自分たちにできることを考える

 

動物愛護センターは終生飼養センターではありません。

殺処分は安楽死ではありません。

避妊去勢手術なしに外飼いされた猫は、エサやりを受けた野良猫は

次世代の悲劇を生みます。いっぱい。いっぱい。

飢え死。凍死。事故死。

 

何のために生まれてきたのか

私たちは答えられるでしょうか。

 

ペットブームの裏に潜んだ闇を知っていますか。

ショーウィンドー越しにみつめるあどけない目と、安易な購入が

どれだけの命に地獄を見せるか知っていますか。

 

こんな雪の日にこそもう一度考えてほしいんです。

その表面だけにしか目をかけられていない“生命という価値”のこと。

 

未来の心優しい人たちが

1つの命という唯一無比の尊厳、奇跡と

より多くの命とを

天秤に載せて苦しまなくていいように。

 

何で生まれてきたんだろうって

そんな命を一つでも減らせるように。